どんなに元気なワンちゃんでも突然起こすことのあるヘルニア。
特に胴長短足の体型が特徴のミニチュアダックスや、足の短い犬種で腰に負担がかかりやすいワンちゃんはヘルニアになりやすいといわれています。
ここでは、ミニチュアダックスの実際の経験とともに椎間板ヘルニアの初期症状や治療、予防策についてお話したいと思います。
ワンちゃんのヘルニアが心配な方、ヘルニア治療中の方などぜひ参考にしていただけたらと思います。
犬のヘルニアはどんな初期症状が出る?
犬のヘルニアは急に症状が現れることも多く、前日まで元気だったのにある日突然元気がなくなって歩けなくなる、ということもあります。
初めに現れる症状はワンちゃんによってさまざまなようですが、一般的なヘルニアの初期症状はこのような症状があります。
犬のヘルニアで起きやすい初期症状
- 動きが鈍くなる。
- 動こうとしない。
- ちょっと触るだけで「キャン!」と鳴く。
- 抱っこを嫌がる。
- じっとして小刻みに震える。
- 歩けなくなる
- 前につっぱったような歩き方をする
- 足の甲を地面につけて歩く
- 段差を嫌がったり、降りられなくなる。
といった症状が現れることが多いようです。
また、ペット用品やペット情報誌を扱う「PEPPY」の「健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス」では、
初期には抱っこや背中を触られるのを嫌がったり、患部が腰椎の場合は、歩くときに足がふらついたり、引きずったり、足先が裏返って足の甲を地面につけていたり(ナックリング)します。
また患部が頚椎の場合は、首を動かさず前につっぱったような歩き方が見られます。”
出典:PEPPY 健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス
「Mダックスに多発!麻痺が進めば半身不随になることも 椎間板ヘルニア」
https://www.peppynet.com/library/archive/detail/351
といった変化を紹介しています。
とくに、胴が長いという特徴から、ミニチュアダックスは椎間板ヘルニアになるリスクが他の犬種よりも高いといわれています。
「いつもと違う」「何かおかしい」と思ったら、早めに病院に連れて行くことが大切です。
ミニチュアダックスReeくんのヘルニア発症時の初期症状
うちには13歳のミニチュアダックスのReeくん(♂)がいますが、椎間板ヘルニアの兆候は6歳ごろに一番初めに起こっていました。
Reeくんに椎間板ヘルニアの初期症状が出たときは、
●失禁と同時にその場で固まって小刻みに震える。
ということがありました。
その時点で動物病院で診てもらいましたが、レントゲン検査も異常なし、原因ははっきりと分かりませんでした。
6歳の初期症状のときはレントゲンも異常なし、ヘルニアの兆候に気づかず
ヘルニアがミニチュアダックスに多いということを聞いていたので、キャン!と鳴いておしっこをもらして、体を震わせている様子を見たとき、「もしかしてヘルニアになってるのかな」と思いましたが、病院に連れていくとレントゲンも異常なしとのこと。
原因は分からない、ということでした。
私が抱き上げようとしたときに「キャン!」と鳴いておしっこをもらしたので、「もしかしたら近すぎて怖かったのかな」と思ったりもしました。
9歳で椎間板ヘルニアになったとき、兆候だったことに気づきました
ですが、後になって考えると6歳のときに出た症状が「一番初めに起きた初期症状だったのかも」と思うようになりました。
Reeくんの椎間板ヘルニアの症状がはっきりと出たのは9歳8か月のときで、6歳でヘルニアの初期症状らしいものが出てから3年ほど経ってました。
そのときの症状は、
●歩けなくなる
という症状で、前と違う大きな変化は「歩けなくなる」ということでした。
いつも家の中をウロウロ、たまに走ったりいつも元気いっぱいのReeくんが、今までに見たことがないくらい元気がなく、突然歩けなくなってしまったのでとても不安になりいろんな病気を考えて心配でした。
「元気がない」
と思ったときは夜間だったので、翌朝すぐに近くの動物病院に連れていきました。
犬がヘルニアを起こしやすい状態ってどんなとき?原因は?
犬がヘルニアを起こしやすい状態というのもあり、日ごろから気を付けてあげることでヘルニアになるのを予防できることもあります。
犬がヘルニアを起こしやすい状態には、
●床がすべること
というのがあります。
体重の増加や床の滑りがなぜヘルニアに良くないかというと、どちらも「腰に負担がかかりやすい」ということがヘルニアを起こす要因となるからです。
ついつい食べる姿がかわいくて、おねだりされるとおやつをあげたりしてしまいますが、体重の増加は腰に負担がかかりやすくなるので気を付けてあげないといけません。
ごはん、おやつの与え方としては、
●定期的に体重を計測する
といった方法で、体重の急激な増加を防ぐようにしたいですね。
早期発見のポイントは?
ヘルニアになったとき、一番初めに異変を感じた症状が「元気がなくなる」「いつもと何か違う」ということでした。
まさかヘルニアの初期症状だったとは思わなかったので、じっとしてあまり動かない、元気がないときはヘルニアの初期症状の可能性があります。
早期発見のためには、
●いつもと違う動きをしている。(歩き方、首を動かすと痛がるなど)
●じっと同じ場所にいてあまり動かない。
●食欲はあるが元気がない。
など、「いつもと何か違う」と感じるときはすぐに病院へ連れていくことが早期発見のポイントです。
病院にすぐに連れて行って早期発見
うちのReeくんが椎間板ヘルニアになったときも重症化せずに治療を終えましたが、病院の先生によると、
異変に気付いてすぐ病院に連れて行ったこと
も、椎間板ヘルニアを悪化させずに済んだポイントの一つだったようです。
歩き方がおかしくなったり元気がなくなったり、動かずにじっとしているときはヘルニアの初期症状の可能性もあるので、早期発見のためにもできるだけ早めに動物病院で診てもらうようにしましょう。
ヘルニアの予防と対策は腰に負担をかけないこと
ヘルニアになると再発することもあり、できればヘルニアにならないように日ごろから予防や対策を取っておくといいでしょう。
ヘルニアの予防と対策には、
●段差の上り下りをさせないこと
●体重の増加に気を付ける
があります。
意外と知らないことですが、フローリングではワンちゃんの足がスリップすることも多く、元気に走り回ってるなー♪と思っていたら、急にヘルニアに・・・なんてこともよくあるそうです。
それは足が滑ったときに腰に負担がかかってしまい、その積み重ねでヘルニアになってしまうワンちゃんが多いのだそうです。
①床のすべりをなくしてしっかりグリップをきかせるように
ツルツルと滑る床はワンちゃんの足がしっかりグリップをきかせることができず、知らないうちに足腰に負担がかかっているのだそうです。
引越しの日、業者さんのあとをついていったり、走り回ったり、「お客さんがきた!」と思っていたようではしゃいでいたReeくんでしたが、それがヘルニア発症のきっかけにもなったのかもしれません。
動物病院の先生からはタイルマットやカーペットなどで
床のすべりをなくしてあげることが大事
だということを教えていただきました。
撥水タイプの吸着マットなら置くだけで滑り防止ができて、汚れたときでもお手入れがしやすいのでいいですね♪
タイルマットや吸着マットには大きさや素材など種類もさまざま。
置きたい範囲や大きさに合わせて選んでみてはいかがでしょうか。
②ステップやスロープで段差の上り下りをスムーズに
ソファーやベッド、玄関や階段、ワンちゃんの日ごろの生活には意外と段差が多いです。
見た目は軽やかに上り下りしていても、実際は腰に大きな負担となっているんですね。
恥ずかしながら、ヘルニアになるまであまり気を付けてあげられていなかった「段差」。
今ではペットスロープを使って楽に上り下りができるようにしています!
スロープタイプや階段タイプなど、ペットステップにもいろんな種類があります♪
ソファーやベッド周りなど、お部屋の雰囲気やスペースに合わせて選んでみてはいかがでしょうか?
③体重の増加はヘルニア発症の原因にも
「重いね~!」と初めの体重測定で言われてしまったReeくん・・・。
8.2キロほどあった体重を食事制限で5キロ台まで落とすようにと言われました。
食いしん坊で食べることが好きなReeくんにとってはさらに辛いことでしたが、Reeくんの体のためだと、私も自分に言い聞かせて体重を減らすようにご飯、おやつを減らして様子をみることになりました。
体重が重いと歩くときに腰に負荷がかかってしまい、日常の積み重ねで椎間板ヘルニアを起こしてしまうことが多いのだそうです。
たくさん食べさせてあげたい!という気持ちもありますが、体重管理もしっかり行ってあげることが大切なんですね。
治療法はどんな方法がある?
犬のヘルニアの治療法には大きく分けて2つあります。
●投薬治療と絶対安静で経過を見る方法
の2つがあります。
症状が重い場合はすぐに手術を必要とすることもありますが、症状が軽度の場合はまず投薬と絶対安静で経過を見ることが多いようです。
ヘルニアは手術しないとダメ?
動物病院の先生によると、以前は「ヘルニア」というと「すぐに手術が必要?」という見方もありましたが、研究が進んだこともあり最近では、
●絶対安静
●リハビリ
で経過を見る方法が多いとのこと。
その理由としては、
●手術は全身麻酔で行うことが多く、犬の体に負担がかかること
●手術をしたら必ず治るという保証がなく、車いすが必要になることもある
●投薬とリハビリで改善するケースが増えている
といった理由から、すぐに手術をするという選択をする獣医師さんが減ってきているそうです。
「椎間板ヘルニアですね」
と診断を受けたときは、すぐに
「手術?!」
と私も少し慌てましたが、その時先生から
「手術はすぐにはしないので大丈夫ですよ」
と、投薬と絶対安静で治療をすること、その理由についてきちんと説明してもらえたので、気持ちを落ち着けることができました。
ヘルニアの症状を抑えるために安静は必須
症状を抑えるためにはまずは
絶対安静
だと指示されました。
できれば動き回ったりしないように、ゲージでおとなしくできれば尚良し、とのことだったので、通院を始めてから約2ヶ月半の間はほとんどゲージの中で過ごしたReeでした。
「出してよ~」と寂しそうにしていたReeでしたが、次第に自分の状況を理解したのか、おとなしくおりこうに寝ていることも多くなっていきました。
絶対安静ができたことも、2ヶ月半のヘルニア治療には効果があったのかもしれません。
ヘルニアの手術になったらどのくらいの費用がかかる?
椎間板ヘルニアはグレード1~5の症状段階があり、グレード1~2の間は歩行が何とかできる状態といわれています。
しかし、グレード3~5になるとほとんど自分で歩けない他に、椎間板ヘルニア自体の症状が進行してしまうことから、手術による治療を勧められることも多いようです。
手術となると、手術自体の費用はおよそ10万円~15万円ほど、その他の検査費用や入院費など、いろんな費用を含めて20万円~50万円の範囲が相場のようです。
椎間板ヘルニアはできるだけ初期の段階で見つけてあげられればいいですが、普段の様子とあまり変わらなかったり、症状に気づきにくい場合は悪化した状態になって慌てて病院に行くケースもあります。
椎間板ヘルニアの手術にはこのくらいの費用がかかることを知っておくことも大事なことですね。
椎間板ヘルニアを発症した日の一日の様子
ミニチュアダックスのReeくんが9歳でヘルニアになった時、初めはどんな病気なのか分からずとても心配でした。
ここでは、椎間板ヘルニアの症状が出た日から通院に至るまでどういった症状が出ていたかについてお話ししたいと思います。
<初期症状>1- びっくりした拍子に「キャン!」と痛みを訴えるような鳴き声
ヘルニアの症状が出たその日は引っ越しの日でした。
引っ越しが終わった夜、エアコンの工事後の残ったホースを私が取り上げると、ホースの動きにビックリしたReeくん。
ビクッとしたと同時に「キャン!」と鳴き声をあげました。
鳴いてしまうほどビックリしたのかと、そのときは「そんなにびっくりした?ごめんね」と、あまり気にかけていませんでした。
ですが、後々考えると、このときにビックリして体を突然動かした拍子に、ヘルニアの症状が出たのかなと思います。
<初期症状>2- 名前を呼んでも元気がなく動き・反応がおそい
「キャン!」と鳴き声をあげてから元気がなくなり、体の動きや呼びかけに対する反応が遅くなりました。
「Reeくん」と呼びかけても反応しなかったり、頭をゆっくり持ち上げて私のほうを見てそのまま寝るというような感じでした。
そのときは、「引っ越しの疲れが出たのかな」と思っていました。
引っ越し作業の間、作業員の方が作業をしているなか、周りをあちこち歩き回っていたのできっとReeくんも疲れたんだろうと思っていました。
<初期症状>3- ずっと横になっている、寝ている
「何かおかしいな」と思い出したのはこのあたりからで、昼間動き回って疲れたとはいえ、ずっと横になっていつものように動き回らない様子に、「いつもと何か違うな」と思いました。
食欲はありましたが、いつも寝ている自分のベッドでずっと横になっていたり、寝ています。
疲れているんじゃなくて、体の調子がおかしいのかな、と思い、次の日に病院に連れて行こうと決めました。
<初期症状>4- 歩いている途中で、足取りが鈍くなり、突然歩けなくなる
異変に気付いた翌朝もReeくんの元気がないため、急いで病院へ連れていくことにしました。
家を出るときはまだ歩くことができたので、リードをつけて歩いて病院へ向かおうとしましたが、家を出てすぐにReeくんの動きがおかしくなりました。
急に腰をひょこひょこしだし、それから数歩歩いて立ち止まり、私のほうをじっと見て、そのまま動けなくなってしまいました。
その様子を見て、ミニチュアダックスに多いと聞いていた「椎間板ヘルニア」が頭をよぎり、もしや?という思いもありましたが、ほかの病気かもしれないと、いろいろな思いを抱えて急いで病院へ向かいました。
5-元気がない、突然の体調の異変に戸惑いながらも動物病院へ
突然のことで、年齢的にも高齢でもあるため、まだ椎間板ヘルニアだと分からない間は最悪のことを考えながら病院へ向かいました。
初めはお散歩~♪と嬉しそうにしていましたが、自宅を出てすぐに歩けなくなってしまったReeくん・・・
当時、妊娠6カ月だった私は、おなかの赤ちゃんに「重たいかもしれないけど、一緒に頑張ってね」と話しかけ、約7kgほどあるReeを抱いて病院へ向かいました。
先生に診てもらうと、両足がまったく刺激に反応していない状態で、診察の結果「ヘルニアですね」と診断されました。
まだ、ナックリング(足の甲をひきずって歩く)の症状はありませんでしたが、ダランと足に力が入らなくなった様子や元気がない様子などヘルニアの症状が出ていました。
2カ月半の投薬治療とリハビリで歩けるように
結果としては、約2ヶ月半の治療期間を経て治療前と変わらず元気な姿で過ごせるようになりました。
ヘルニアになったら手術が必要なこともある
と聞いていたので初めはとても心配でした。
ですが手術することなく、
10日くらいのリハビリ
で初めは想像できなかったほど元気に歩けるようになりました。
ミニチュアダックスReeくんのヘルニア治療を経験して
足に麻痺の症状が出て椎間板ヘルニアと診断されたとき、初めはReeは良くなるのか、体はどうなるのか、元の元気な姿に戻れるのかと、心配は尽きませんでした。
ですが、ヘルニアになってしまったことは後からいろいろ考えてもいくら心配しても変わりません。
椎間板ヘルニアがきっかけで歩けなくなることもあるので、「もしそうなったときは私もしっかり受け止めよう」と心に決めました。
そのときは、今まで私のそばで一緒に支えてくれたReeくんを、今度は私が支えよう、と思いました。
何でこんなことに・・・と思う気持ちと、これからどうしていけばいいかを考えて、少しずつ気持ちを整理していきました。
そうしていくうちに、少しずつReeくんが椎間板ヘルニアになったことを冷静に見ることができるようになっていきました。
ヘルニアを発症してから病院の先生の指導と、Reeくんの頑張りで約2カ月半の治療期間を乗り越えました。
治療の間、Reeはゲージレストで部屋の中を歩き回ることもできず、じっと耐えていました。
週に1度の通院、徐々に10日に1回となり、Reeの歩行の様子をみて「治療完了」の判断となり、ゲージレスト解除と近距離のお散歩の許可。
そのときは本当に嬉しく、「Reeくん、よく頑張ったね!」と心からReeの頑張りを褒めました。
それから、再発もなく元気に過ごしています。
犬の椎間板ヘルニアを経験したことで、私もReeの体により注意するようになり、知識を深めることができたと思います。
いつも癒しと元気をくれるワンちゃん。
これからも元気に過ごしてほしいと願っています(^-^)
Reeの経験が、参考になればと思います。